それって「タルトタタン」?

【調理なう】「超簡単タルトタタンレシピ」が本当に簡単なのか検証したら大変なことになった件のまとめ - ひびわれたまご


上記の記事は多分「いかに失敗するかを楽しむ」コンテンツだと思うのですが、元のレシピを覗いてあれっと思ったのでサクッとエントリを。


ブログ主の shinoegg さんが参考にしている元レシピ(『フライパンでできる!フランス菓子「タルトタタン」の超カンタンレシピ│タウンワークマガジン』)ですが、タルトタタンを一度でも作った事のある人が見ると、「カラメリゼ(カラメル化)の工程がない」事にまず違和感を覚えます。
タルト生地の代わりにホットケーキミックスを使うのは、オーブンを使わないで済ます為として理解できるんですが、でもこれも生地を流し入れる事でカラメル化を阻害する工程になってるんですよね。


そもそもタルトタタンは、アップルパイを作ろうとして砂糖とバターで炒めていたら林檎を焦がしてしまい、仕方がないので上に強引に上にタルト生地を載せてフライパンごとオーブンに突っ込んだという*1、ブログ主さんを彷彿とさせる荒技が最初とされています。
今でもガスコンロからオーブンまで、鍋を使わずタルト型一つで調理を済ます省力設計は変わりありません。

現在は、林檎そのものを炒めてカラメル化させるのではなく、あらかじめ砂糖もしくは「バターと砂糖」を焦がしてカラメル化させた中に林檎を入れるレシピが主流ですが、どちらにしろカラメル風味を楽しむお菓子な訳です。

でもさっきも書いたように、元のレシピにはこのカラメル化の工程が省かれているんですよね。初心者にはなかなか難しい部分なので抜いたんでしょうが、本来の「焦がす」工程を曖昧にしている為に、shinoegg さんの「どこまでやったら溶けた事になるの?」という混乱が生じてしまっている。
平たくいえばこれはレシピの方が悪いんです。

この手の「簡単にしたら元の意味がどっかに行っちゃった」という例は結構あって、お菓子のレシピ本でも肝腎のコツを書いてないとか、明らかに量がおかしいとか(これは昔多かった)いう例は枚挙に暇がありません。
このせいでみんな最初に苦労に苦労を重ねるんですよね。



最後に、さっき見つけてきたタルトタタンの作り方の動画を二つ置いておきます。フランス語ですが、映像なので疑問点の確認には充分なので。

こちら(参照)にある1分20秒程度の動画では、今回と同様の林檎の切り方が確認できます(最初少し広告が入りますが)。
ただしカラメリゼに関して、文章にはバターに砂糖を入れて焦がすと書いているのですが(フランス語→英語のGoogle翻訳で確認)、なぜか動画では砂糖のみをカラメル化させた後バターを加えています。これは初心者には絶望的な工程と言えるので避けましょう。
ちなみに林檎を切った後に出て来るレモンは、林檎の色止めの工程を指しています。人によっては(多分 shinoegg さんにも)塩水よりこちらの方がやりやすいかもしれません。


またこちら(参照)に置いてある下の動画(元ページには写真付き工程解説も)では、バターに砂糖を加えてどの程度焦がせばいいか等、全工程を確認する事ができます。



*1:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/タルト・タタン