安全保障と、日本の議論の歪み


この続き(エントリのコメント欄にもやり取りが続いています)。

id:inumash返信を待とうかと思いましたが、これ以上やっていても延々と続いてしまう。これで終わらせましょう。


最初に戻るなら、コメント欄で国際情勢に明るい他の人達も、池内氏のエントリを「こんなものだね」と受け止めていました。あの「中国の歴史認識」記事のように、中国の日本プロパガンダにはっきり言及したものは珍しいですが、ある意味あの(プロパガンダの)認識は常識の範囲でもある。日本の右翼と安全保障は別だよねというエコノミストが繰り返す認識は読んで字の通りで、中韓はそう主張するけれど、違うよね、こうだよねという確認。『安倍政権の背後にいる勢力を解説する記事でわざわざ“右翼的傾向への危惧を日本の国家としての脅威と混同するべきではない”と両者を区分するように書いている』のは、単純にinumashさんの考えと対立するものです。それで終わり。

池内氏はその時その時の情勢を記事にしてるに過ぎないし、私も他の人々もあのエントリをごく自然な感覚だと受け止めていた。事の推移やレイヤーの違いは、あそこで普通に前提として共有されていました。けれどinumashさんにはわからなかった。それはなんでかというと、結局やはり最初に戻って捉える構図に無理があるからです。あなたの言っている事も個々は理が通っていても、ブレがある。噛み合っていないんです、それぞれが。

私は最初のブクマで、米国防省が南シナ海の中国の様子をCNNに取材させた件に触れたけれど、最近の中国を巡る認識において、この件が大きなトピックになっている。報道された事自体も、ペンタゴンが報道「させた」事自体も、非常に大きな意味を持っています。この件から状況の推移を導き出せないなら、それはやはりあなたの描く構図に欠陥があるという事です。

人間はそれほど簡単に自説を曲げられるものじゃないし、私が言ってもあなたが素直に受け入れてくれない事はわかっています。私自身の言っている事も絶対じゃない。私は中国情勢についてきちんと追っているわけでもない。
私がこれほどしつこく間違いを指摘するのは(あなたにとってはそうでないとしても)、ここの認識の歪みが、現状の大きな歪みに連なっているからです。
安全保障への感覚の欠如が、どれだけの誤解を生み出し、損失を生み出しているかは空恐ろしい程です。安全保障は安倍首相の右翼傾向と間違って結びつけられて語られてしまっている。
それは別の物です。誰がどう煽ろうと。

本当は私自身がきちんとエントリを書かなきゃいけませんが、なかなかそれをする余裕がない。他人にどう伝えればわかりやすいのか、今回のやり取りを通じてずっと考えていました。幾つかのヒントも得られた。
今回は冷静な対応をありがとうございました。あなたの納得する形かどうかはわかりませんが、私の方はこれで終わりにします。