我が身を呈してまで

そんなのはちっとも偉くはないのだと。そういう人間は元から執着に欠けているだけであって、周囲の人間を平気で捨てていくのだと。


私を全ての人間が見捨てていたら、私はここにいなかっただろう。だが私は私を捨てる人間を憎むことができない。捨てることをしなかった人間によって生かされて、けれど私はあなたのようにはなれない。


その人を憎まないことがあなたへの罪ならば、そしてあなたが私を責め続ける言葉が。
私の人生はもうとうに私の手を離れている。世界への距離は結局一度も縮まることはなかった。



私は誰のことも愛したことはない。おそらく何と関わることもないまま死んでいく。この生がなぜこうだったのか、わからないし、わかってもいる。
私が「どうしようもない」人間だったとして、それすら認めることができなかった。世界が「どうしようもない」ものであると知っていて、けれど規範にしたがって生きようとした。
生きるという歩みをすることができない。私の足は見かけ倒しで役に立たない。
ここでただ中空に立っている。