雪が降るといって、降ったのか降らなかったのか。


幻のようだなと思う。幼い時から。


灰色の空を見上げるだけで、掴むものをなぜ探せると思ったのか。
わたしを囲む煩わしさの全ては、そこに何を望めると思ったのか。


雪はなく、灰色の埃があるだけ。



そうあらねばならないと、決められたままに望まなければならないのか。


人のたてる音が聴こえていなければ生きてなどいけないのに、彼らの抱くものは、わたしにひどく空虚に見える。