姿の変容

着る服も昔とは随分変わったが、街中で鏡を見ていると、昔の自分とまるで別人のように思える事がある。自分がこの歳として思い描いていた容姿と今は確かにかけ離れているが、時代が己の内面にもたらすものと、それが自身の姿にどう働いているのかが、うまく見えない。まるで意識の影に隠れているように思える。
街を行く女性達の歩き方が、ファッションの流行りと共にワンシーズンで変わったのに気付く事もある。もたらされている変化は大概誰の目にも映らない。社会の意識から見落とされているそんなものがすっと自分に入り込む時、わたしはぞっとさせられる。
世の中の見ている物が、視線の方向が、絶望的に間違っているように感じられる。
生きる事そのものがその笑える程の乖離を強いるのか、それとも単にこの社会によるものなのか。それを自分が知りたいのか知りたくないのか。そんなとば口で、ずっと自分が俊巡を繰り返しているような気がする。