閉塞状況もろもろ

木村さんの台詞で「国内には(その分野で)専門教育を受けた人間がいないから」てので思い出したけど、子供の頃このままいい大学行ってそのあとどうするんだろうって思っていた。
いい会社行くか、官庁行くか、弁護士になるのか、医者はパス、医学部以外の理系学部は成績の良い奴は今は行かない。要するに科学者という選択も事実上なし。文学部も右に同じ。
つまんないなと思っていた。頭の良い奴ほど能力を生かす学問をしない、職業につかない。


中国や中東の留学組は専門教育を受けて、ものすごい勢いで発展を引っ張っている。たぶん外の世界に出ないで国内に留まるなら、どこをめざすべきか見えないのだと思う。専門教育を受けて仕事を探すならやっぱりアメリカなんだろうし、今更日本企業が「日本の学生は内向きで留学もしない。英語も話せない。そんな人材はいらない」と言うのを見て、冗談だろと思う。
留学組が帰ってきてもどこも採らなかった。専門教育を受けた人間は敬遠した。だから誰も枠以外の教育を選択できなくなった。就職できないなら留学なんかするわけない。この状況にしたのは日本企業自身じゃないか。


採用側の本音は、自分のできないことができる若者がやってきて、自分の居場所を脅かすのが怖かったんだ。嫉妬、保身。だから組織も日本のどこも停滞したまま、何も変わらなかった。


バブル崩壊の後も、竹中氏が出てくるまで睨み合いの保身保身で、不良債権に誰も手をつけなかった。ターゲットにされた一部の人間以外は、結局責任すら自覚しないまま逃げ切った。馬鹿な女子アナが、居丈高に桃源社社長に迫っていたのを忘れない。言えるならバカ女、バブルの裏にいたヤクザか、逃げ切ったお偉いに言ってみろよ。
大蔵省との関係と政治家への献金で、銀行は本質を変えなかった。今の閉塞状況の大きな原因のもうひとつはこれだ。
サラ金が隆盛したのは、個人の資金需要(と零細の金繰り)を銀行が無視していたからだ。銀行は担保担保で、どこに現実の資金需要があるかなんて考えてみもしなかった。人が成功したら初めて、法スレスレとわかっていても真似した。バブル崩壊サラ金に頼らざるをえなかった人間や零細の状況なんか、政治家にも経済学者にも見えていない。他の全てのことはして、必要なことだけは誰もしない。


よく日本がこうなったのは云々と喋る評論家やら何やらがいるけれど、あんたのような、保身だけ考えて、毒にも薬にもならない綺麗事言う奴のせいでこうなったんだよと思う。そのせいで状況は放置され、取り返しがつかなくなるまで進行した。
そんなのばかりだから、何かひとつ言えば目立ってしまう。
日本全国必要でないものばかり作って、必要でない事ばかりして、要らないものと身動きの取れない状況に囲まれて、誰もがうんざりしている。そんな状況が当たり前であることの本当の意味が怖くて、誰も何にも口に出さない。


佐藤優氏にしろ、木村氏にしろ、官僚はなんであんな極端なアウトローが出てくるのだろう。木村さんの方は自分に専門知識が無いからわかり辛いが、佐藤氏の方はなんだかなあと思う発言が多い。が主張の正しい正しくないかはともかくとして、あれだけ苛烈に存在アピールと批判をしながら付かず離れず対抗するのは、売名や裁判というよりまず、そうさせる原因が組織側にあるせいだろう。見ているとまさに互いに化学反応だ。
木村氏が今の厚労省天下りは金目当てなんかじゃないが、もっと深いガンなんだろうと言ってたけれど(大意)、本人もはっきりこう把握してるといった自信はなさげだった。


閉塞状況の原因のさらにもうひとつ、官庁の天下りの網の目が日本のエンジンか運転室というべき中核を絡めとっていることだ。天下りは日本の子会社構造と相似ではあるけれど、過去のヤマト運輸やホンダの例を出すまでもなく、天下りが組織にいるせいと規制の影響力で、今やどこも官庁の官庁的性格に毒されている。
決まりと周りばかり気にして、何か行動を起こすまで右見て左見て、文句を付けられないように意味のないことだけをやる。


みんな揃って必要のないことをして、世の中がそれで成り立っているという、まるで歌舞伎の世界のようなお約束。必要なことをしたら、寄ってたかって全力で潰される。もう嫌気がさして、わかっていても我慢ばっかりしている。

では自分が生きていく為に必要な事だけは通すかと思っていたけれど、それもあまりに迂遠すぎて、孤立というにも果てしなくてどうしようもわからない。
どうしようもないとわかっていてもどうにもならない。それでも見えないままで歩を踏み出せば、それがどっかに突き当たる。余計なとこでばっか苦労している。その先真っ暗で何もない。


目を吊り上げて不正を批判してる人達には、横で声も出さずに死んでる奴らのことなんか目に入らない。他人から吹き込まれて、これひとつで全てが解決なんて言いだす間抜けに、ほんとに苦しんでる奴らのことなんかわからない。