桜がきれいに咲く公園があって、昔からその時期にはその公園に行く。

記憶の中にあるそれとはずいぶんと周辺の景色が変わってしまったが、なんということもなく雑踏に紛れる。


恋人を連れた男と目が合って、少しの間視線が絡んだ。
男は連れに声をかけられ互いに気を離したけれど、この男がひとりであったら私には気づかなかったのだろうと、漠然と思う。


その日は季節はずれのブーツを履いて、桜を見ながら私はひとりになれないままだった。