ロシアの資源の方は、

西の方も見ないと全体の構造が見えないという感じ。まだ頭の中でまとまっていないのと、一気に書くと私の場合記事がやたら長くなるので、ちょこっとだけ書く。



この記事辺りをみていると(サハリン2への露社参入、協定締結は越年も : 経済ニュース : 経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞))、ロシアは最初から落としどころを見ているのかなと思うけれど。資源に限らず日本の投資が欲しいロシアが、友好関係を保ちたいというのは本音。サハリンはこの後も開発案件があるし、シュトックマンと違って(これは次回記述)その資金を直接、主要供給先国である日本などからというわけにも行かないだろう、とは思う。




また、中国が直接コミットしようとしてくる事を相当ロシアは警戒していて*1、日本にある程度ロシアに関わっていてもらおうとする力学もある。ま、この説明ではサハリン2の主導企業シェルを無視しているが、それをいうとサハリン1についてのエクソン(サハリン1での主導企業)とワシントンの今回の件への反発があって、ロシアの「エネルギー・ナショナリズム呼ばわりするな」というワシントンへの反発もある。それはウクライナでのガスショックにもつながってくるのだが。


どっちみち、石油メジャーはこれからある程度以上のコミットは許されなくなる。そこで問題になるのはガスプロムの技術力だが、これについてはシュトックマンについての記述の時に譲る。




最初からロシア政府にはPSAとか外資主導の不利な取り決めを覆したいというのがあって、まあそれは無理もないというか、石油メジャーにいいとこだけ持っていかれてロシア政府に税金すらろくに入ってこないと思っても、当然といえば当然。かといってこんな強硬なやり方が黙って許容される筈もないのだが、「ここが許容できない」というラインがあるのはわかる。ただ、そのラインがどこに設定されているのか、見えるといえば見えるし、分からないところは分からない。


シュトックマンについてもサハリンについても今から見れば前振りはあったのだが、大概誰もその意味を読み取っていなかった。




資源国有化が世界の情勢でもあり(その情勢がまた大問題なわけだが)、まあ今までの揺り戻しがきたかなというのがある。で、国有化といってもロスネフチもガスプロムも株式公開をしており、プーチン大統領によれば、両企業のあり方はいわゆる旧来の国有化ではなく、現在の(この場合資源関係の)多国籍企業の例に習っている、ということらしい。
その主張が全て鵜呑みにできるものでもないのだが、株式公開しているのは事実であり、またロスネフチについては大統領補佐官が9月、ロスネフチの全株公開、完全民営化を示唆して話題を呼んだ(株主当たり10%上限が条件)。
FujiSankei Business i. 国際/露国営石油ロスネフチ、完全民営化 大統領補佐官が言明(2006/9/20)


アメリカ方式ではないものの、94年以前の欧州国有企業の形に似ているという話もある(ここは詳しくないので、私にはよく分からない)。




資源国有化で思い出したが、ガスプロムベネズエラとも協力関係にあるのだが、チャベスが反米の元にぶち上げた南米横断パイプラインにも協力するといっているらしい(とチャベスが言っていると)。これは確か当初中国が金を出すという話が出ていたのだけど、採算の点で問題があって、ガスプロムの真意が掴みかねられているよう。



で、シュトックマンの経緯を見ていると、東と西でずいぶん状況が違うなと思う。
やっぱり今回も西の方のキーはドイツ。これ以上は長くなるので次回に回す。
サハリン2だけというより、ロシア全体の方針が問題なのだけれど、それをきちんとまとめて把握して説明というのもかなり難儀。EUとの関連もあるし、パイプラインのことなんかもある。



で、サハリン2に戻ってこんな報道もあった。
【ロシア】政府、ルクオイルの免許19件はく奪か[資源]/NNA

*1:ロスネフチのIPOの時でも、CNPCが30億ドル分買いたいといったのを5億ドルしか許可しなかった。他の主要投資者のマレーシアのペトロナス、英BPの半分程度。但し、六月にシノペックはTNK-BP傘下のウドムルトネフチ買収に成功、ロスネフチに株式の 51%を譲渡。