生き残った方の子供

難病で幼い頃死んでしまった友人がいた。死んだと母に連絡が来た頃は、もうその子の顔も覚えていなかった。

友人が笑う写真を見ながら、こんなに楽しげに笑う、死を待つ子供がいるものかと思った。


私は見舞いに行かせてもらえなかったらしい。らしいというのは、その頃のあれこれを何一つ子供は聞かされなかったからだ。友人がどんなふうに身近から消えたのかも覚えていない。



ずっと後になって、母がテレビの画面を指差して、この子がその後友人をずっといじめていたんだってと言った。ああそうなのかと、その役者の顔を見るたび、私はしばらく友人の事を思い出した。