恐れと罪

悪とは神の業(わざ)だろうか?
そうだろう。


悪の意志と悪の行為、
だがその周囲に顕れる不穏さを、時に顕れる滑稽さを、私は親しいものとは思わない。


意志など所詮その人間のものではない。私は意志など持っていない。
善と悪の区別など、生きる最初から最後迄、理解することはないだろう。



神はあなた方にとって、ここに存在してはならないものだ。
望みは、ここにあってはならないものだ。


救いなど信じない。だがでは私がずっと見続けていたものは、己のものとして感じ続けていたものは何だったのか。


私は認めることができなかった。自分自身が為してしまうことと、その自然にあらがった。
おまえはいるべきでないという声に耳を貸してしまった。


罪など存在しないと、知っていたにも関わらず。



あなたはそこに座っている。
私と差向いでコーヒーを飲んでいる。


私の偽りの叫びなど、なきが如しに。