ルミネの広告のストーリーは諧謔であること。またもう一つの炎上の件

ルミネの働く女性たちを応援するCMが酷い内容だった - 田舎で底辺暮らし

ルミネのお詫びの下手くそさ - 田舎で底辺暮らし


これね。
彼女に対するバッシングも出てきた様なのでもう少し早く書いとけば良かったんだろうけど(炎上に参加する程の元気もないので)。


ルミネは動画を消してしまったし、この後どういう情報が出てきたか追っていないんだけど、結論から言うとストーリーの諧謔性を理解しない構成のせいで誤解が誤解を呼んでしまったように見える。
この方の書いてるように構成は明らかにチグハグで、最初のシーンの「無駄に上から目線で、身に構ってるけど他人をどうこう言える程ではない」男の登場が示唆するストーリーと、「変わりたい? 変わらなきゃ」の煽りが噛み合っていない。

通して見て思ったのは、ストーリーとそれに即した演出がかなり繊細にされている事、それに反して幾つかの煽りの入れ方が、ストーリーの含意を踏まえていない事。


主人公と巻き髪の女の子は同一人物だとどこかで見たけれど(これが事実かどうかは確認してません)それぞれの役どころは意図的にステレオタイプに演出されている。
主人公の女の子は、容姿はそこそこでお洒落な所に勤めているけど、髪は構っていなくてとりあえずのまとめ髪。色気はないけどそれなりにお洒落なボーダーシャツ、メンズっぽいくたびれた革靴(多分)を裸足で履いていて、その事はわざわざ1秒程足元を映して強調されている。

主人公には今気を入れてお洒落するほどの精神的、体力的余裕がない。
それなりのファッションのこだわりもあるけど、CanCam みたいな女の子には死んでもなれない。でもそういう典型の巻き髪の女の子の事は素直に可愛いと思っている。
以前テレビで怪しげな占い師が「恋人が何年もいないと言ってきた女の子は全員ボーダーのシャツを着ていた」と言ってたのを聞いたけど、まあ、そういう含意のある演出。
行くなら代官山とかに行くタイプなのかな。

(【追記】お店でも同じ服だった記憶があるので、制服を着て出社してるという事かもしれません。これについては画面だけ見ているだけでは判断できないのですが。)

で、「女子色」ワンピースを着た巻き髪の女の子が登場して、主人公と仲よさげな気心の知れた目配せをする。最初の男はそれに気付かずにペラペラ喋っている。
主人公と巻き髪の女の子が男の御託を相手にしていない事は、ここの演出ではっきり示されてるんだよね。男の賛辞は巻き髪の女の子の眼中にはない。


第二弾の中で主人公が歴女だという描写が出てくるけど、主人公の女の子は知性的でオタク気質で、自分の感性に本当は自信は持っているけど、それを口に出して言えないタイプ。最初の男のようなタイプに嘲られるのがわかっているから。
そして「巻き髪の女の子になれない自分」へのもどかしさは、主人公にとって自分の思いきれなさ、臆病さとリンクして象徴的な物に見えている。

失礼な男の言葉は、だから彼女には自分自身の内なる声とリンクしている。それゆえに怒りもせずに素直に彼女かわいいですよねと返す。男の人物設定はリアリティはあっても、明確にピエロとして描かれているわけで。


そして最後の場面、(明らかに最初の男と対比させた容姿の)イケメン男性が彼女の姿を見ている。
要するに、それは「今のままの彼女」が異性にとって魅力的であるという事。
主人公の「女」としての魅力は世間に「通用」していて、でも本人の「媚びる」事への忌避が、素直な反応と、彼女がずっとしたくてできないでいる「もう一歩」を阻んでしまう。

筋立てとして、そこの突破口をファッションが担うって事だと思う。
そして、その解釈はとても正しいと思う。


第二弾では、イケメン君が共通の趣味を話のネタに主人公に積極的なアプローチをしてくる。彼自身もややオタクっぽくて、彼女の知性(と感性)へのストレートな評価を口にする。
だから、彼は彼女の価値をちゃんとわかって好意を寄せているっていう。彼女にもそれは伝わっていて、だけどどうしたらいいかわからなくて、舞い上がってベラベラ喋り続けてCMが終わる。

【追記】
>>し
id:yas-mal 僕は「真田幸村」「信繁」のやりとりで、「リア充ライトオタ」と「空気の読めないガチオタ」という「相容れない二人」と解してしまったのでfuyu77さんと同じ意見…難しいね。
リンク 2015/03/21

というコメを頂きまして、私には「信繁」「幸村」のやり取りの意味がわからなかったので、ヤスマルさんの仰る通りかと思います。微妙に手の平返しそうなキャラかなとも思ってたのですが、ラインが全く逆になる所もでてきますね。明らかに間違っている所に線入れておきます。