虹
自分が何もできない事は知っている。
こういう体に生まれてしまった事も、何が起きたか未だに理解できていない事も。
この人はもう長くないんだとわかっている時、わたしはそこから体を背けている。
さして関係もなく、自分には理解できない何かだったとして。
差し出された手は当たり前のように何かを求めていて、私はそれを与える力がない。
なぜ人生は終わっていないのだろう。
何一つできはしないのに。
それを理解された事も、理解されたいと思った事もないのに。
制御できもしない人生は続いて行く。
この手でつかめるものは何もない。
それは激情でしかないと誰かが見る時に、これは私の現実でしかないと。でも言った所で何になるだろう。
認められたかったわけじゃない。
何か違うものが欲しかったわけじゃない。
ただ我慢して我慢して、普通に生きているように、ただ破綻の一線を渡ってしまわないように。
私になぜ力が与えられなかったのか。
彼らが言うような「心の弱さ」でしかなかったとしたら、それならばどう違ったのか。
「弱い」彼らと混同される事を私は面倒に思っている。でもそれだけのことでしかない。
わたしはなぜこの体に生まれついたのか、自分に何が起こったのか。
神に叫んだとして何か教えてくれるのか。
ただ人生の終わりを待つのが面倒臭い。
耐えがたい人生を送っていく事が。
他人より公平に物を見たとして、それは私に何の利益にもならない。
わたしが生きていけるという事には、決してならない。