次の角へ来ると、もう空の色が変わっている。
振り向くと、前と後ろでは空の色が違うのだ。


信号を待つ間に、窓越しの紺の深さが増していく。
けたたましい黄色の照明が窓枠で紺色と対照を為し、奇妙に小さな絵を作りだしている。


車が動き出し、チラと後を見るとまだそれは昼の色だ。
もう一つ角を曲がり、左の空は見えなくなった。


右の空の紺の深さをはかりながら、部屋に着く頃には、鏡に射す光はなくなっているだろうと考える。
さっき買ったグレーの帽子を押し下げて、着くまでのあいだ窓にもたれて休息をとる。