記憶

気がつくと手首がひどく冷たくなっていて、少しぞっとした。
革の手袋のひやりとした感触に、指を通すのが躊躇われ置き直す。


大人になってから、足を触られるのが嫌いになった。同じ感触がすっと胸を巡りなおす。
手首から心臓が握りしめられて、思わず顔の左半分を顰めている。


ああ、わけわかんないんだよ。ぞっとするんだよ。
たいしたことはないんだから、ほっとけよクズ野郎。