中国政府への抗議に一万匹の上海蟹を振る舞った芸術家
この人についてはあまり知らないので書かなかったのだけれど、案外取り上げるところが少ないのでちょっと書く。
去年森美術館で、自身初の個展を開催した艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏。世界的に有名な現代芸術家であり、現在はイギリス最大の現代美術館テート・モダンで個展を行っている。景徳鎮で作られた陶器の種を一面に敷き詰めた作品は、あちこちで取り上げられているので目にした方も多いかもしれない。
政治的意味合いの強い作品と言動のせいで、中国政府に目を付けられ、過去ブログやTwitterのアカウントも何度も消されている。
現在のTwitterアカウント(中国語)は http://twitter.com/AIWW
(【追記1】現在ウェイウェイ氏のツイート、蟹パーティー参加者のツイートなども翻訳して流されている方のアカウント。非常に盛り上がった様子 http://twitter.com/#!/tkucminya)
【追記2】
今年2月22日には、正陽芸術団地襲撃事件から派生した、天安門事件以来初めての長安街(北京のメインストリート)でのデモ行進を自ら率い、さらに携帯で撮った写真と共にツイートしている。(Business Media 誠:「Twitterは中国に100%自由な言論空間を与えた」――トップツイーター安替氏の視点 (4/7))
(第170回 「虎年の幕開け」大陸の風−現地メディアに見る中国社会 / ふるまいよしこ))
で、現在これ↓
北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」の設計にかかわった中国の現代芸術家・艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が中国当局に一時、軟禁状態に置かれました。反政府的な活動をしたことが理由とみられています。
艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏によりますと、軟禁は北京市の自宅で5日に始まり、50時間以上続きました。これまで反政府的な発言を繰り返してきた艾氏は、自身の上海のスタジオが中国当局によって取り壊されることに抗議するパーティーを企画していました。このため、当局が艾氏のパーティーへの出席を妨害するために軟禁状態にしたとみられています。軟禁はパーティーの終了後、7日の真夜中を過ぎてから解除されました。
艾氏不在のままに上海のスタジオで開かれたパーティーですが、中国各地から400人以上が参加。中国共産党のスローガンである「調和」を意味する「河蟹」を食べて抗議の意思を示しました。(08日19:53)
【追加動画】
ようするに、共産党政府への抗議に上海蟹を食べよう!というイカしたイベントが、主催者ウェイウェイ不在のまま無事終了しました、というのが現在。
でもいつものこととはいえ、こんなことすると中国政府は自分の圧政を逆に宣伝してるようなものなのに・・・(馬鹿?)、と世界は思っている。で、当然中国国内にもそう思っている人たちはいるわけで。
ふるまいよしこさん(http://twitter.com/furumai_yoshiko)の、中国語のツイートを翻訳してくださっているシリーズから。
Yoshiko FURUMAI Nov 3
【中国のツイート】「芸術家艾未未のスタジオ取り壊しは、もし上海市嘉定区政府が対応を失敗したら市政府に怒られるだろう。上海市政府が失敗したら、中央政府に怒られるだろう。『こんなちょろいことを何やってんだ?」てね。つまり、これは最初からやつらの大間違い。抜こうとする釘を間違えたんだな。問題は艾は(釘のように)立ち退きを拒否しているわけじゃなくて、(次々と相手を釣り出す)鉤なんだよ。大変なことになっちまうぞ…っとに馬鹿だよな、あいつら」by @zuzhou
アイ・ウェイウェイの発言やツイートは、世界のジャーナリストにフォローされていて、このツイートの言う鉤に釣りだされる相手とは、ジャーナリストおよび民主化を求める勢力、外国政府といったところ。
このツイートのような発言は、本来中国のネットでは難しいのだと思う。それを書く事を可能にするのが、中国におけるツイッターという空間ということなのだろう。
七日までに、日本でも蟹食べ告知が広がったら面白かったかな、と思ったけれど時すでに遅し。世界中で蟹食べながらツイートして、中国政府が青くなってたらきっと面白かっただろうけどねw