その指

友人の指を覚えている。大人ではなく、子供でもなく。
それはひどく短くて、爪は小さく丸くすり減っていた。その子はそれをひどく気にしていたけれど、私は何も言わなかった。


「あなたの指はきれいね」


あの頃と私の手は変わっていない。
美しく手入れされた彼女達の手は、そして遥かに美しい。あの頃あんな指を持っている少女などいなかった。
何が変えたのだろうか、その指を。


その壊れやすい美しさを眺めている。
誰かがきっとそれを欲しがるんだろう。それはどういう感情なのかと、思うことがある。