煙草の火

その歌の中で、ライターを弾く音で拍子を取る場面があった。
一人で過ごさなければどうにもならなかった頃、私は吸いもしない煙草を買ってきて火をつけた。ホテルに備え付けの安い灰皿に煙草を落として、熾火のようなものをぼんやりと見つめていた。
コカ・コーラを二口三口飲んで捨てていた頃、もう少し悲しかったんだろうかなと思う。
どちらにしろ、もうそういう事はやめてしまった。