慈悲について

あなたの苦しみに、苦しみによってしか辿り着けない。


誰かの苦しむ姿を見て、痛みの記憶を呼び起こされる事でしか、あなたにたどり着くことはできないのだ。


ではあなたを愛しているのだろうか?
それは愛だというのだろうか?
痛みによって盲目になることは、私から全てを奪ってしまう。


ここで、私は声にならない叫びを聞いている。
苦しみの声など聞き届けられない。
あなたは聞いているだろうか?
誰かの痛みによって我を忘れた事があるだろうか?


痛みの前に人は無力であり、苦しみと弱さは見捨てられる。
見捨てられ続けた影をあなたは知っているのか。
そして自分がいずれ見捨てられるかもしれない事を、あなたはいったい理解しているのだろうか。