三月三日

ああそうか今日は桃の節句かと思う。毎年その日まで忘れている。
子供の頃雛を飾った記憶があまり残っていない。代わりに昔の自分の部屋と、そこから眺める庭の風景を思いだす。


毎年辛夷が咲いて、それを合図に花が咲き始める。咲く順序も変わりなく、私は幼い時からずっとそれを眺めていた。
意識が思うようにならなくなって、繰り返しはただ重さを残していった。
木瓜のことしか思い出せない。心象の中で。