見えるもの

以前ある人の様子を見て、二人は心配したが、もう二人は何も思わなかった。当人は実際、ギリギリ以上の状態だった。
だが気付かなかった人間は、何も気付かず笑いながらその人間を追いつめた。
私はそれを見て、吐きそうになった。



以前ある人が酷い言葉を投げられて、周囲の幾人かは蒼白になり、馬鹿な一人が仲裁に入ろうとした。彼女は何も思わなかった、その酷い言葉と様子に何も。
そして二人を裁こうとした。その時、娘は彼女をはっきり不信の眼差しで見つめていたのに。



では何が酷い言葉なのか。
なぜ見えることがあり、見えないことがあるのか。見えないことで人を追いつめるのか。


「鈍い」事は罪であるが、そんなものは見返られない。彼は何も気付かず、自分の意図がなぜ理解されないのかと嘆き続ける。その足で触れてはいけないものを何度も何度も踏みにじりながら。



そしてあなたが酷い言葉を発した事実も戻らない。
人の心をずたずたにしようとしたあなたの意図は、残酷にくっきりとその場に痕跡を残していく。あなたが忘れたような顔をして、人の揚げ足を取ったとしても。ではお前はどうだと言ったとしても。


あなたの言葉も見ない心も、犯した全てから、決して逃れることはない。