意図の問題(遺骨問題について、論点整理など)

北朝鮮といえば今はテポドンだろうが、これについては何ら人様と変わる見識を持たないので触れない。ただひとつ言い得るのは、北朝鮮の内情なんぞどんな専門家でも窺うのは不可能であり(たぶん総連上層部でもろくな事は知らない)、テレビの評論家の言葉は六分目くらいに聞いておいた方がいいということくらいだろうか。


で、本題。あまり目新しい話はない。
私はここで「当時拉致関係ブログにこれに関して、拉致問題を中傷するコピペが貼られた」と書いたが、内容についてはよく覚えていなかった。あとでおおよそ当時の文章の確認が取れた(現物の確認は出来ていない)。
片方はこの間リンクを貼った電脳補完録のものと同じだが、これら()ともう一通のメーリングリストの文章を組み合わせて作られたものである。文章の作者は岡山大学名誉教授の野田隆三郎氏、コピペしたのは別の人物だろう。


私も当時も今回も相当慌てていたので、かなり示唆的なことを書いてしまったが、コピペを貼った人は、拉致問題そのものを中傷する意図はなかっただろう。彼らは自分たちの運動しか目に入っておらず、拉致問題など目に入っていなかっただけの事であるようだ。あのような文面を拉致を扱うブログに貼れば、目にした人はかなりのショックを受けるが、それを想像するだけの力がなかっただけなのだろう。


偽遺骨での政府の不手際を、野田氏もメンバーである中核派の関わる極左団体が自分たちの主張に利用しようとしたというのが事の顛末であり、当時情報が流通したルートから見て、人事を問題化したのもこの団体と見てほぼ間違いない。

野田氏は、国会質問した首藤議員についてこのようなメーリングリストを書いている。もちろんこのような働きかけ自体が悪いわけはないが、この情報が流れたところにある一定の意志が働いていた事は、覚えておかれるべきだろう。


見る限り、首藤議員は直接この団体とつながりはなかったのだろうし、質問するまでの経緯はよくわからない。政治家というのは国民の意志を政治という手段として実現するものであり、彼のバックグラウンドはそういったものなのだろう。そのこと自体をどうこう言いたいわけではない。この問題は追及して然るべきものではあった。野田氏の周辺にある程度乗せられたかな、という感じもあるが、首藤議員も北朝鮮経済制裁するのは国際的に見ても不合理であると言いながら、イスラエルには経済制裁をしろといっていた。人にあれこれいう割に、随分と自分の矛盾には無頓着な人だな、とは思う。


今回はてブでも、この問題で政府のみを非難していた人たちがいた。彼らは当時それらのメーリングリストや私の目にしたサイトを見ていた人達だろう。もちろんそのこと自体に問題があると言いたいわけではない。今回展開した様相は、情報認識がバラバラであった事に反してまともな問題意識に沿っていたし、この先この問題が実体化して大きくなる事があっても、妙な方向に行く気遣いはないだろう。ただ、この問題において働いていた意志を、今回記事を目にした人たちは意識していなかったし、私はそこに危惧を感じた。
ネットではこの種の情報工作が非常に多い。ブックマークを見ているとその問題に関する人の認識がわかりやすいが、情報工作に非常に無防備な姿をしばしば見かける。それはカルトの働きかけに関しても同じであり、この所の私の発言は、それらの問題意識から為されている。


私はエセ左右両翼からぼろくそに言われたことがあるが、彼らは皆ある一定のルートからの情報に対して無防備だった。彼らは己の正義に疑いを持っておらず、その思い込みの指弾からは逃れようがない。ネット上ならば致命傷にもならないだろうが、過去彼らは実社会でそのようにして人を社会的に殺してもきただろう。ある一定の情報の流れに無防備でいれば、間違ったやり方で人を追いつめる場合がある。それはしばしば見られる傾向であり、たとえ政治的に偏りのないつながりの薄い人々であっても、集団となって人を追いつめ、社会の行く先を誤らせる場合がある。そういった危機感は、もっと持たれるべきであるだろう。

ひとつ典型的なやり方としては、相手に悪意があることを示唆し、他者にその存在を絶対悪とイメージさせること、また自分もしくは第三者を被害者と設定し、相手を加害者として糾弾する事で、他人にもそう思わせる事がある。


拉致問題については、実際北の情報工作がある。彼らはいろいろなものに擬態しているし、工作とは多く人の良心と理を利用する行為である。常にそれを頭に入れておかないと、結局理を通したつもりが乗せられただけということにもなりうる。