北方領土関連動静 根室市長、段階的返還論容認発言などについて


27日

 進展がみられない北方領土問題について、北海道根室市の藤原弘市長は27日の定例市議会で、歯舞、色丹の2島を先行返還する段階的返還論を解決の糸口して容認する発言をした。藤原市長はこれまで「四島の帰属の問題を解決し、返還の時期などについては柔軟に対応する」との国の方針に基づく発言をしていた。歴代の根室市長が段階的返還論を容認したのは初めて。

 新党大地の遠藤輝宣議員の一般質問に対し、藤原市長は「四島の主権と帰属が日本にあるという主張を譲ることはできないが、プーチン大統領が日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹の引き渡しを表明していることを考えると、私はここを解決の糸口として現状打破を図る交渉も一つの有効な戦略ではないかと思う」と答えた。


北方領土:根室市長が段階的返還論 定例議会で発言 毎日新聞


で、宗男さん ↓

ここに来て領土返還運動の原点の地である根室市の市長が、現実的返還に向け市議会で答弁した意味は大きい。空想的解決論を百万回ぶっても、原理原則論を主張しても、相手が乗ってこなければ、関心を示さなければ動かないのが外交である。藤原根室市長の勇気と決断を評価しながら、政府もこの北方領土を目の前にしている根室市議会のやりとりをしっかり踏まえて取り組んで戴きたい

鈴木宗男ランド ブログ by宗援会:宗男日記から 2006年6月28日(水)


北海道知事は支持せず。
北方領土段階返還論、知事賛同せず  2006/06/28 北海道新聞 政治


麻生さん辺りも共同経済開発とか動いてたっぽくて、根室とサハリン、地方レベルでは結構いろいろある。麻生さんの発言を巡って、ロシア側何か妙だなと感じたこともあった。が、長くなるので説明なし。
で、日露ビザなし交流で二十七日から予定されてた、北方領土での海洋生物専門家日ロ共同調査が中止。北海道新聞は割とすぐリンク切れるので、長めに引用。

 ロシア側担当者によると、今年は治安機関のロシア連邦保安局(FSB)や軍関係機関が計画書の内容不備や提出時期の遅れを指摘。ロシア側の調整がつかないまま調査開始日を迎え、異例の中止に追い込まれたという。

 同センターの小林万里コーディネーターは「計画書を提出したのは五月で、例年より早い。内容も従来なら問題なかったはずだ」と話している。

 ビザなし交流をめぐっては、従来、北方領土島民が中心だった交流計画の策定に、今年からサハリン州政府が深く関与。ロシア側の管理強化の動きが目立つなか、五月と六月に予定されていた地震専門家の現地調査も中止となった。


北方領土、日ロ共同調査中止 治安機関、軍が関与 返還要求けん制か  2006/06/29 09:22 北海道新聞 国際


ニュースとしては地味なんだけど、漁業関係で揉める。で、そこにももちろん政治的思惑があるよと。

貝殻島コンブ漁は主権問題を回避する形で一九六三年に始まり、八一年に北海道水産会と旧ソ連漁業省が結んだ新協定に沿って毎夏行われてきた。しかし、ロシア政府内強硬派は、同国の新法が「国境地帯での外国漁船操業は、国会の承認する国際合意に基づく」と定めていることに着目、調整が難航している。

強硬派の台頭は、プーチン政権が「北方四島に対するロシアの領有権は第二次世界大戦の結果として確定し、国際法でも正当とされる」との姿勢を強め、天然資源に対する国家管理を強化していることが背景にある。


麻生太郎外相はラブロフ外相に二十三日、交渉入りへの努力を要請。ロシア外務省内には七月の主要国首脳会議(G8サミット)や日ロ首脳会談を前に関係悪化を避けたいとの空気が強く、事態打開の動きが出ることも予想されるが、ロシア政府内には「今年の操業が認められても、新たな協定なしには、再び交渉が難航する事態は避けられない」との見方が根強い。


貝殻島コンブ漁、あすの出漁困難 ロシア政府内に 2006/5/31 北海道新聞


貝殻島コンブ漁で官房長官要請へ 釧路新聞 2006年06月17日

コンブ漁、やっと出発 北方領土の貝殻島で CHUNICHI WEB PRESS



5月31日付のこの記事(Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 北方領土 露TVで四島返還論 専門家発言「対日同盟が国益」)に結構ブクマがついていたけど、自分に都合のいいとこだけ見てもと。意外と北方領土周り見てる人いないけど、ロシア内ではかなり綱引きがある。サハリンの強硬派は、日本の右翼より強烈。ロシア正教ナショナリズムの色合いが濃いから、サハリンの司教が「我が領土」に煽りをいれる。




今見たら、Google Newsで"kuril"がかなりヒット。前やったときは全然引っ掛からなかったんだよなー。気が向けばまた調べる。



参考

モスクワと東京は新しい関係を築く必要あり 2005/6/14 ノーボスチ・ロシア通信社

FujiSankei Business i. ラスプーチンと呼ばれた男 佐藤優の地球を斬る/北朝鮮見据えた対露外交(2006/6/8)
領土問題、期待と幻想 2005/11/21 ノーボスチ・ロシア通信社


ノーボスチの記事は去年のものである事に注意。最後の記事は、鈴木宗男失脚の事にチラッと触れている。なんか違う気がするが、ロシア側はこう受け止めているかと思うと興味深い。
前も書いたかもしれないけど、ノーボスチはロシア政府に近い思惑がわかるので重宝。